建築の豆知識 タイルの製法ってご存じですか? マンション大規模修繕工事 東京都

20/04/16

皆様こんにちは。

マンション大規模修繕工事のセラフ榎本で御座います。

皆様がお住いのマンションにも、外壁やエントランスの壁等にタイルが貼られているかと思います。

そのタイルですが、どのように作られているのかご存じですか?

「粘度を固めて窯で焼いてるんでしょう」

殆どの方がこうお答えになるかと思います。

現代では様々な技術を駆使してタイルが製造されております。

その製造方法をご紹介したいと思います。

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タイルには色々な種類が御座います、しかしながらどのタイルも「湿式製法」と「乾式製法」のどちらかの製法で製造されております。

 

湿式製法

水分を含んだ粘土状の素地原料を押出成形機で板状に押出、所定のサイズに切断して成形します。

(皆さんがご想像するのはこの方法かと思います)

原料の含水率が高く、焼成すると収縮やひずみが発生しやすいのですが、焼き物ならではの質感や個性など、

焼き物としての「風合い」を生み出します。

 

焼き物特有の温かみのある表情や味わいが魅力です。

少数ロットの生産に向いていて、陶芸品のような特徴的なタイルもあります。

 

乾式製法

金型に坏土と呼ばれる粉上の素地をプレス機で高い圧力をかけて成形します。

均一ですっきりした風合いのタイルが多く、また成型後の乾燥と焼成の時間が短いので、湿式に比べタイルの寸法精度が非常に高く品質が安定しています。

大量生産に向いており、生産技術の向上で、湿式タイルの味わいに近いタイルも近年では生産出来るようになりました。

 

湿式と乾式の見分け方

湿式製法なのか乾式製法なのか、タイルの裏面を見ると大体のタイルは見分けられます。

下の写真は湿式タイルの裏面になります。

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粘度を型に入れて押し出し、その後決まったサイズに切断するので、タイルの裏の溝が縁部分まであります。

こちらは乾式タイルの裏側です。

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乾式製法はプレスで形を作るので、タイルの裏の溝が縁部分まで行かずに途中で止まっています。

製造メーカーの刻印が入っている物も御座います。

 

原料を成形して釉薬(うわぐすり)をかけた後、窯に入れて焼き上げるという基本的な流れはほぼ同じです。

しかし、湿式製法は職人さんの手が介在する事が多く、乾式製法より手作り感があります。

その反対に乾式製法は、大量生産が可能な様に効率化を図り、焼成時間も短く出来る工夫がなされています。

 

焼成方法

タイルの原料・釉薬は、焼成温度や焼成方法により色が大きく変わります。

焼成方法には「酸化焼成」と「還元焼成」があります。

 

酸化焼成

窯の通気を良くし、酸素を十分に供給する方法です。

炉内から煙突への流れを作り、十分に外気を取り込むようにします。

釉薬や素地に含有される酸化金属と酸素が結合して化学反応を起こし、別の化合物へと変化して発色致します。

安定した色を得る事が出来ます。

 

還元焼成

炉内への酸素の供給を制限して、タイルから酸素を奪う焼き方です。

煙突への流れを少なくして、外気も取り込みを抑えるように焼成します。

炎の当たり方等で微妙に変化があり、いわゆる「焼き物」らしい色の変化(窯変)が生み出されます。

 

まとめ

製法からタイルの特徴をとらえると、「乾式製法」や「酸化焼成」は効率良く均一の品質でタイルが製造され、

「湿式製法」や「還元焼成」だと職人さんが手間をかけた趣のあるタイルが製造される。

ざっくりとこんなイメージでとらえて頂けると良いと思います。

一言で「タイル」と言っても製法や焼成の違いで色々な物があるんです!

皆様のちょっとしたトリビアの一つに加えて頂ければ幸いです。

 

建設本部 建設二部 施工管理担当