外観・塗装の流行り廃り 突然やってきて突然去った『スーパーグラフィックス』マンション大規模修繕工事 

20/05/08

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皆様こんにちは。マンション大規模修繕工事のセラフ榎本です。
建物の外観にも流行があるのをご存知でしょうか? ファッションやメディアなどと違い長いサイクルを要する建築物ではあまり流行を感じづらいですが、最近は白や黒、グレーを基調としたシンプルモダンな建物がここ5年ぐらいでは人気なようです。もちろん建物は長い目で見て付き合うべきですので、こうしたシンプルモダンな建物だけでなく幅広いテイストの建築物が受け入れられる傾向にあります。古民家風などの時代をさかのぼるようなものも話題になりますね。

『スーパーグラフィックス』もまた、60年代後半当時世界中で大流行しました。

古くからある伝統的な建物はその地域で産出される建材が使われるため、基本的にはその自然材がその町の基調色となっていました。これが権力の誇示や建物の象徴化、近代化など様々な理由から「建物を特別な色に変える→塗装する」という概念が生まれていきます。

スーパーグラフィックスは60年代中頃から見られるようになった、建築物の外壁を鮮やかな色彩で彩色した、一見すると大変派手に感じる塗装です。ニューヨーク等の都市でギャラリーも借りる事のできない貧乏なアーティストたちが、街に出て建築物に大きな絵を描いたとの説がありますが、実際にその名前が広まったのはグラフィックデザイナーがカルフォルニアの週末住宅計画に参画し、壁面に大きなグラフィックパターンを描いた『シ―ランチ』からです。
この計画は世界中の様々な建築雑誌で取り上げられ、瞬く間に世界中へ広まりました。
シーランチの作者たちが始めたスーパーグラフィック運動はまもなく日本にも上陸します。とある顔料メーカーでは、画家が工場の煙突に彩度の高い鮮やかな塗装を施しました。この例は日本におけるスーパーグラフィックスの初期の例で、老朽化から取り壊しとなったあとも周辺住民の要望から地域のランドマークとして保存され、現在も東京都足立区で観る事ができます。
この他にも繊細なストライプパターンがタイルで表現されたホテルや真っ赤なセンタービルなど日本では多くのスーパーグラフィックを利用した建物が誕生しました。

ところが60年代後半から大流行したスーパーグラフィック運動は70年ごろから徐々に減退し、73年のオイルショック頃を境に姿を消してしまいます。

これは高彩度色の高い誘目性からを利用した商業広告的な塗装が増え始め、建物の存在を大きく主張しすぎたがために景観論争に発展したのが原因のひとつとも言われています。

スーパーグラフィックが衰退した後、現在に至るまで、世界ではフランスの色彩学者が提唱した環境色彩基準が広く採用されるようになりました。

爆発的に流行したスーパーグラフィックでしたが、5年~10年程度の短い流行でした。
割と長いサイクルに感じる塗装の流行でも、あっという間の流行も存在したんですよ、というお話でした。

大規模・小規模修繕工事のご用命はセラフ榎本におねがいいたします。
建設本部 第一部